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歴史薫る「子母口・千年」 の地を歩く:vol.02 弟橘媛の伝説を訪ねる

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さてさて、前回に続いて 「子母口・千年コース」 を進みます。蓮乗院のほど近くにある橘樹神社から第2回目はスタートします。曇り空だったお天気も、徐々に青い空が広がっていき気持ちの良いまち歩きとなりました。

 

日本武尊の妃、弟橘媛の伝説が残る場所 ~橘樹神社、富士見台古墳 ~

実は今回、古墳や貝塚というとてもシンボリックな遺跡と共に編集H子がとても魅かれていたのがココ、橘樹神社でした。理由は簡単。以前、武蔵新城の和菓子屋さん、「太平屋」 さんを取材した際に聞いた “弟橘姫” の伝説を由緒に持っているとのことだったからです。

日本武尊と弟橘媛が祀られている橘樹神社
日本武尊と弟橘媛が祀られている橘樹神社

日本武尊が東征の折りに海が荒れたため、妃である弟橘媛が身を投げ海神の怒りを鎮めました。やがて、入水した媛の御衣・御冠の具だけがこの地に漂着したと言います。

日本武尊は帰途に立ち寄り媛を祀る社を建てたと伝えられます。橘樹神社は大化の改新後、橘樹郡の中心地となり、渋口(子母口)立花宮の杜として広く知られることになったそうです。それにしても貝塚はもちろん、この逸話も太古は海であったことを今に伝えるものですね。

 

ちなみに橘樹神社の狛犬さんは、耳の垂れたかわいいワンコで母犬が子犬を抱えるようにしている珍しいタイプ。

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さ、先は長いぞ!日が落ちる前にゴールしなくては。一同次の目的地、長屋門へ。

伊藤家の南側にある日本的な美しさの際立つ建造物です。

 

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見ごたえのある長屋門。市の保存樹もあります

 

Tくん: 「こんな感じですかねー?」

H子: 「うーん、もっとこう!なんていうか、こう!」 と執拗にキメカットを探す二人。どうですか、なかなか迫力ある長屋門が撮れたのではないでしょうか!?次のポイントはいよいよ富士見台古墳です。それにしても住宅街のなかに古墳ですよ、すごいことですよね。古代と現代が同居しているのですから!

 

かなり急こう配の坂道がつづく…。運動不足には堪える高台の地

いやー、これが 「富士見台」 という名前のとおり、延々と続く上り坂なのです。

全国に富士見と名のつく地名では、昔は富士山が見えたと言います。小高い場所なんだろうな~という軽い想定をはるかに超えた上り坂に、ほとんど無言になる私たち…。はぁふぅはぁふぅ言いながら、到着です!

 

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富士見台古墳は、弟橘媛の陵とも言われています

 

想像より小さめでしたが太古の高貴なる方の陵なのね…と感慨深く眺めつつ、併設のベンチでしばし休憩です。実は小さめに感じられたのには理由があって、道路に面した古墳のふもとが大きく削られてしまったそう。築造当初はかなり大きな円墳だったのでは、と言われています(by 川崎市教育委員会Webサイト)。

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この角度で見ると高さがなんとなく想像できますか?

「かれ七日ありて後に、其の后の御櫛海辺によりたりき。すなわち、その櫛を取りて御陵を作りて治め置きき」と伝えています。そして、この社伝と古事記の記述とが結びつき、その「御陵」とされてきたのが富士見台の高台に築かれた富士見台古墳です。(出典:川崎市教育委員会Webサイト

橘樹神社から富士見台古墳と、弟橘媛の面影を残す伝説に彩られているのですね。

第3回へ続きます!

 

vol.01 古代の海の面影を訪ねる

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