エリアの老舗や歴史的なものを訪ねたり、新しい建造物や取り組みなどをご紹介。キーワードは「もっと中原が好きになる!」。

明治から続く変わらぬ醤油づくりが、この先の未来へも受け継がれることを願って【福來醤油】

古いものは江戸時代から受け継がれている大樽は、歳月による風格が感じられて

明治時代初期から約150年近く、川崎市中原区井田で本醸造醤油を作り続けてきた福來醤油さん。

毎日の生活のある場所で、これほど歴史ある醤油づくりが現在に渡って継続していることに、うれしい驚きを感じます。福來醤油の5代目・三田 喜久雄さんを訪ね、醤油づくりについてお話をうかがいました。さらに、江戸時代から受け継がれている樽など、古くから使われている貴重な道具類まで見せていただくことができました。

蔵を案内してくださった5代目、三田社長
蔵を案内してくださった5代目、三田社長

使いこまれた道具の数々、味わいすら感じられる歳月が磨いた風合い

2 メートルはあるかという大きな釜。機械でゆっくり回転します
2 メートルはあるかという大きな釜。機械でゆっくり回転します

醤油作りは、大豆を蒸すところから始まります。 この奥にあるオレンジ色の大きな釜に大豆と水を入れ、1日中蒸していきます。 1 分間に2 〜 3 回転、ゆっくり回転するこの機械釜ができたおかげで、つきっきりで大豆をかき回す必要がなくなり、ずいぶん作業が楽になったそうです。

 

 

 

 

 

 

 

蒸した大豆をほぐすための崩壊機
蒸した大豆をほぐすための崩壊機

蒸して固まった大豆を、この崩壊機でほぐします。使用する際には下に板を敷き、大豆が一定方向に落ちるようになっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

真ん中の丸い部分に砂を入れ、小麦を炒っていきます
真ん中の丸い部分に砂を入れ、小麦を炒っていきます

大豆と並ぶ、もうひとつの大事な原料が小麦です。この釜の真ん中に熱された砂が入っており、その砂の熱で小麦を炒っていきます。とても熱く、醤油作りの中で一番つらい工程だったとか。

ここで炒った小麦は、一晩おいて熱を取った後に粉砕されます。

 

 

 

 

 

 

麹室に、麹の入った箱をびっしり並べ、発酵させていきます
麹室に、麹の入った箱をびっしり並べ、発酵させていきます

その後、大豆と小麦をほぼ均等に混ぜて、種麹を加えて 「麹」 を作ります。

この麹は、1メートル四方の小さな箱に入れて何十枚と並べ、 「麹室(こうじむろ) 」 で寝かせます。麹室は35〜6度に温度が保たれており、ここで3日くらい寝かせます。ここでの温度管理がもっとも重要な工程で、真夜中にも何時間かおきに温度を確認していたそうです。

 

 

 

 

 

古いものは江戸時代から受け継がれている大樽は、歳月による風格が感じられて
古いものは江戸時代から受け継がれている大樽は、歳月による風格が感じられて

その後、食塩水と塩を樽に仕込み、麹の成長を見ながら 8ヶ月~1年ほど寝かせて諸味(もろみ)を作ります。ここで麹菌、酵母、乳酸菌などが働き、分解・発酵が進み、熟成されていきます。諸味ができるまで、毎日撹拌し、状況を確認していく必要があるそう。
今はもう使用されていませんが、昔はこの杉と竹のみで作られた巨大な樽で醤油を寝かせていました。今はもう、こんな樽を作れる職人さんはいないのだそうです。現在は樹脂製の樽が使われています。

 

一升瓶に入った福來醤油。遮光性が高いため、風味が落ちにくい茶色のガラスで作られています
一升瓶に入った福來醤油。遮光性が高いため、風味が落ちにくい茶色のガラスで作られています

出来上がった諸味は圧搾され生醤油となります。その後、火入れをして熱を通し、精製し、食卓に上る醤油が出来上がります。

 

この先の未来へもぜひ引き継ぎたい。「かわさき名産品」 として地域で愛される私たちの醤油

現在は、ペットボトルに入った形で流通しています。
現在は、ペットボトルに入った形で流通しています。

福來醤油では、本醸造醤油だけでなく、お客様のリクエストに応える形でめんつゆや中華スープの素なども製造しています。なかでもこの醤油めんつゆは 「かわさき名産品」 に認定されている、まさに “中原の味” 、“ふるさとの味” と呼ぶにふさわしい一品。古くから丁寧に伝えられてきた福來醤油の味が、現代の川崎でふるさとの味として地域の人から愛されているのです。それはやはり、福來醤油が食べる人のことを考え、誠実に製造され、適正価格でお客様のもとに届けられているから。機会がありましたらぜひ手にとってみてください。お料理もきっと楽しくなるはずです。

福來醤油株式会社

 

【福來醤油株式会社】
〒211-0035
神奈川県川崎市中原区井田1-16-20
お問い合わせ:044-411-5238
http://www.fukurai.co.jp/

 

 

 

 

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