カスタマイズやDIYなどを凝らして、魅力的な暮らし方を実践している方のノウハウをご紹介します。

つくるひと、欲しいひとがつながっていく!これからの 「わがまちの農業」が新しい。

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おいしくて安全なものが食べたい。でも、もっと理想を言うならつくり手の顔が見えたらもっと愛着が持てる。さらなる贅沢は、 「住んでいるまちでつくられたものを食べたい」 ということかも。今回、武笠農園で果実を栽培している10代目、武笠 康浩さんにこんな理想が叶えられる素敵なお話をうかがうことができました。

 

話題となった地元産のいちご。実はまだまだ、新しい果実へチャレンジがつづく!

果実栽培に挑戦してみようと思ったのは、もともと祖父がやっていた畑が空いていたためでした。何をやろうか考えて、まずいちご栽培からスタートしてみたのです。「紅ほっぺ」 という品種は茎が長くて、甘味と酸味のバランスがちょうど良いですね。うちでは高設養液栽培という手法を採用し、土ではなくヤシがらを使用しているのが特徴。現在、大体7千株ほどを育てていますが、苗づくりを始めたら5月いっぱいまで半年間毎日収穫ができるのがいちご。それなので、収穫しながら新しい株を育てる同時進行の大変な作業です。いちごは小さい子も好きなので、シーズンにはいちご狩りは大人気となっています。

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長く垂れた茎の先にすずなりのかわいらしいいちご。手間ひまをかけて慈しむように育てられています

 

住宅街で青々と葉を繁らせるレモンとミカン。この秋収穫予定のお楽しみ

実は今、とても力を入れているのはミカンとレモンなんです。

ここも祖父の畑が空いていたことで何をつくろうか考えて、3年前から柑橘にしぼって始めました。果樹は実をつけるまで時間がかかるものです。11月にはレモンが、12月になればミカンが収穫できるはず。住宅街のさなかにある農園なので、農薬をかけるのはとても気を配っているんです。

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青々とした果樹は降り注ぐ太陽を全身に浴びて、いかにも健やか

せっかくですから、地域の皆さんに食べてほしいですよね。 「レモンやミカンをここでつくったら、みんな喜ぶかな」 など考えながらつくっていますが、どうですか? (編集部:「いただきたいですよ!地元産のレモンやミカンをつかって果実酒づくりやジャム、お菓子づくりなどしたいです」 )そうですか、そういうふうに皆さんに楽しんでいただけると本当にうれしいですね。

レモン、ミカンは常緑樹ですから、こうした青々とした葉っぱがいつも元気でないとだめなんですよ。

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周りに住宅が並ぶという、ちょっと不思議な光景とも言える農園

 

19歳から農業を始め、今年で23年になります。代々続く農家ですが、昔ながらにこだわるだけでなく、どんどん新しいことに挑戦していきたいと思っています。土地もやはり都市景観と共に変わっていきますし、消費者のマインドも変化していきます。そのときどきに即して手法も作物も変えていくことが大切です。農業はすべてが同時進行。今は8棟のハウスのなかで青ジソやパクチーなど全10品種をつくっていますが、出荷までの間に数段階の苗を同時に世話しています。

野菜だけでなくパンジーやシクラメンといった園芸品に、マリーゴールドや四季咲きのコスモスといった花も栽培しているんですよ。

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「今の季節も楽しめるコスモス、ちょうど見ごろですね」

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左の苗と右の苗は大きさが違い、出荷までの間、同時進行で育てていくもの

ハウスのなかは手で水をやるのでなかなか重労働ですよ。本当に自然を相手にするものは手を抜くことができません。新しいものやお届けの仕方をこれから考えていきたいので、楽しみにしてほしいですね。

【取材を終えて】

古くから続く農家の10代目、武笠さんは多くの言葉を語りませんが、一つひとつの作物が武笠さんの愛情をいっぱいに受けて育っているのが見てとれます。そして、今ある環境のなかでできるチャレンジに対してとても前向きな姿勢に 『わがまちの農業』 への誇りを感じました。なかなか地元でつくった野菜や果実を口にできる機会がないですが、武笠さんはもっと皆さんのもとへ届けたいという思いがいっぱい。『ひと、まち NAKAHARA』 編集部ではこれから地域の方のご協力もいただきながら、“武笠さんのレモンやミカン” を味わえる楽しい企画をつくっていきたいと考えています。ぜひお楽しみに!手頃な香草もお買い求め可能なので、いちご狩りにいったらお尋ねしてみては。

 

武笠 康浩 mukasa10                                                                        
武笠農園
住所川崎市高津区坂戸2丁目5
TEL : 090-4521-1515
営業時間 : 11:00~16:30

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