♪ 多摩川の 明ける空から
聞こえる やさしい鳥の歌
ほほえみは ひかりのシャワー … ♪
これだけで何のことを言っているのかおわかりになる方は、かなりのツウです。いえ、たとえツウでなかったとしても、少なくとも川崎市で生まれ育った方なのかもしれません。(photo by Jonathan Kos-Read)
そう、これは川崎市制 60 周年を記念して制作された川崎市民の歌 『好きです かわさき 愛の街』 のはじまりの歌詞の一部分なのです。え?そんな歌は知らない?いやいや、そんなことはないでしょう!
あの、ごみ収集車が訪れを知らせる音楽として、日常的に耳にしているあの曲こそが、さらにはサッカーチーム、川崎フロンターレの試合開始前、選手紹介を受けて応援歌として歌われるあの曲こそが、 『好きです かわさき 愛の街』 なのです。
あまりにも川崎市民にとって、当たり前のように存在するこの曲ですが、調べるとなかなか驚きの事実が存在していました。(画像出典:川崎市webサイト)
歌詞は公募で審査員には山田 太一氏、作曲はおなじみの名曲を多数手がけた山本 直純氏
まず、歌詞は一般公募により応募総数 156 編から選ばれたのですが、なんとこのとき審査員の一人として名を連ねたのがあの名脚本家として知られる、山田 太一氏です。山田氏は川崎氏在住で知られ、市内で講演をはじめ、さまざまな活動をなさっておいでです。また、川崎市名誉文化市民にも選ばれています。審査員は計4名からなり、「市民の歌選定委員会」で審査の上、肥後義子さんの作品が選ばれ、昭和59年11月3日(文化の日)に発表されました。
そして作曲を手掛けた、山本直純さんと言えば、国民的映画と言っても差し支えのない、 『男はつらいよ』 のテーマソングを作曲した 「大作曲家」 と呼ぶにふさわしい方なのです。山本氏は他にも、童謡 『一年生になったら』 、『8時だヨ!全員集合』 など、実にバラエティに富んだジャンルで作曲を手掛けましたが、足跡の最初にあたる、クラシック音楽を学んでいた際には同門に世界的指揮者となった、小澤 征爾氏や芸大時代はのちの名マエストロ、岩城 宏之氏といった方々と切磋琢磨しました。クラシックからポピュラーまで、実に多彩な名作を残しています。
そういった背景を知ると、朝のごみ収集車の音楽も、また少し違った味わいが感じられるかもしれません。
最後に、「メロディは知っていても歌えない」 という方のために、詞を記載しておきますね。
川崎市民の歌 『好きです かわさき 愛の街』 ■作詞 : 肥後義子 / 補作詞:石本美由起 ■作曲 : 山本直純
多摩川の 明ける空から
きこえる やさしい鳥の歌
ほほえみは 光のシャワー
さわやかに こころ洗うよ
新しい 朝は生まれて
人びとの 軽い足どり
好きです 陽差しの 似合う街
好きです かわさき 愛の街
よろこびを 語る広場に
きこえる やさしい花の歌
そよかぜは 緑のリボン
あざやかに こころ飾るよ
新しい 愛は生まれて
わかち合う 胸のときめき
好きです みんなで生きる街
好きです かわさき 愛の街
街並の つづく窓から
きこえる やさしい愛の歌
まごころは 希望のリズム
いきいきと こころ弾むよ
新しい 時代(とき)は生まれて
つなぐ手に 明日を夢みる
好きです 幸せ 灯す街
好きです かわさき 愛の街