カスタマイズやDIYなどを凝らして、魅力的な暮らし方を実践している方のノウハウをご紹介します。

独自の試み「パンジーウォーク」や畑の収穫体験など、付加価値を高める農業スタイル【かしま園】

_MG_3441

「中原区の花」 でもあるパンジーを、かしま園ではビオラも合わせておよそ70種もつくっています。種まきから育苗までを露地の畑で行う地堀り栽培が特徴で、シーズンになると畑に入って直接好きな株を購入できるので愛好者が多いことでも知られています。そして8月に入ると一面の梨畑にたわわに実った果実が売りに出され、近隣の方々の楽しみの一つとなっているそう。かしま園の鹿島 連さんに梨づくりについてお話をうかがってまいりました。

 

お昼を前に 「完売御礼」 になる、大人気の “鹿島さんの梨”。

_MG_3452

自然を相手の仕事である農業は、天候の影響を強く受けるもの。今年のような日照時間の少なさや熱帯地方を思わせるゲリラ豪雨などは、ダイレクトに作物の出来にも影響を及ぼすためきめの細かい対応が求められます。
鹿島さん : 「そういった局地的な天候不安だけでなく、もうここしばらくはやっぱり温暖化ですし、広い視点での環境変化にも対応していかないとなりませんね。昔の冬は今と比較にならないくらい寒くて、畑に立ちっぱなしで剪定しているといくら着込んでも冷えきってしまったものです」 。
梨づくりの始まりは、春の訪れを知らせる純白の花が咲くころ。
梨棚は一定の高さで揃えているため、開花の頃には真っ白いベールをかけたように花が咲き乱れるのだとか。一度見てみたいものですね。
3月の終わりから4月にかけて受粉を行い、その後摘果をします。収穫するまでにだいたい半年ほどの時間をかけて大切に育てていきます。だいたい8月の上旬から9月の半ばあたりまでがシーズン。鹿島さんの梨は、畑でじっくり完熟したものだけを収穫するので 「今が一番おいしい」 状態で販売されます。このときを待ちかねた人たちが、我先にと入手するためほとんどがお昼を待たずに完売となっています。

_MG_3435 _MG_3437

陽が豊かにふりそそぐ畑で重そうに実をすずなりにする果樹が広がる光景は、ある種桃源郷を思わせます。

_MG_3485
鹿島さんが丹精込めてつくった梨は、正午前には完売してしまうほどの人気ぶり

11月の 「パンジーウォーク」 はぜひ立ち寄りたい地元イベント。畑からそのまま選ぶ醍醐味

梨の収穫の時季になると始まるのがパンジーづくりです。お盆を過ぎた頃あたりから、かまぼこ状にした苗床におよそ3日間ほどですべての種をまいていき、樹皮堆肥で覆土します。暑い盛りの炎天下での作業がどれほど大変なことかは、想像に難くありません。そしてそれは植物も同じこと、気温が高い日が続くので、朝に夕にまめに確認をして水やりを欠かさないことが大切な作業です。

9月も半ばになると、朝晩はぐっと涼しくなるのでかけてあった寒冷紗を外し、自然の寒暖差に慣れさせていきます。こうすることで丈夫な苗となっていくのです。育った苗は、

_MG_3431
もぎたての梨はみずみずしく、しっかりと甘い

その後畑へと定植しますが、苗床でのびのびと張った根を切らないように注意深く丁寧に植えることで、その後の仕上がりに大きな差が出るのだそうです。

鹿島さん: 「11月から12月一週目の日曜までがパンジーの季節です。農園に直接来園し、好きな色のパンジーを必要なだけ自分で選べる “パンジーウォーク” という、観光農園形式の直売が楽しめますよ。普段なかなか入ることのできないパンジー畑の中を自由に見て歩いて、土に触れながら好きな色のパンジーを必要なだけ掘っていいというスタイルは、地堀栽培ならではのもの」。

 「パンジーの販売時に他にもここでつくっている野菜を販売するようになりました。ブロッコリーに里芋、秋キャベツ、カリフラワー、大根、ニンジンに小松菜やホウレンソウといった葉物野菜などです。これらは地元の人も購入できる数が揃っていますよ。直売もしつつ大根、ニンジン、カブは親子での収穫体験も好評なんですよ」 。都会のなかにいるとなかなか土に触れることも貴重な体験ですし、食卓にあがるまでの間にどういう工程を経ているのかを体感として理解することもできるのです。

 

かしま園_MG_3468
住所: 川崎市中原区下小田中5-1-2
TEL : 044-777-0923
FAX : 044-751-0332
URL : http://kashimaen.my.coocan.jp/

Related posts