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1月11日は鏡開き!伝承を知り、おいしく味わうことで今年も良運に

日本人が大切に育んできた 「稲と米」 への崇敬の念が昇華され、聖なる供物 「鏡餅」 が誕生

お正月に鏡餅をお供えしたお宅も多いことと思います。でも、 「鏡開き」 まで行っている方となるとぐっと少なくなるかもしれません。古くから伝わる日本文化の一つとして、今回は年始にちなんだ 「鏡開き」 についてご紹介します。
(監修:日本鏡餅組合

お正月、神様はすべての人やものに新しい生命を与えるために現れると伝えられています。新年とは、一年に一度新たに生まれ変わることを意味しており、その年神様の霊力はお供えした鏡餅に宿るのだそう。そして、鏡餅を食べることで新しい生命をいただくことができるとされ、鏡餅は 「食べてこそ」 のものであることがわかります。ではもう少し由来をひも解いてみましょう。
日本の文化や民俗学をたどると、稲や米は古くからとても重要な意味を担ってきました。稲には人間の霊力を強化する働きがあると考えられてきた歴史があり、毎年一回ずつ収穫されるその年の新しいお米、それを炊いて食べることで人々の生命力が強化され更新されると考えられてきたのです。米を原料とする酒や餅にはそうした霊力が倍増するとされ、新年の良運と年齢を授ける年神様への聖なる供物とされてきました。

1 月 11 日が鏡開きの理由は?聖なる生命力をいただく特別レシピ

白く円いそのかたちは円満さにも通じ、新鮮で清らかな米から生まれた鏡餅は正月飾りの中心として供えられ、新年の家々の厳粛さを支えてきました。やがて鏡開きの日にぜんざいなどにして食され、その聖なる生命力と良い運気、歯固めの効力とが人々に分かち与えられるとされてきました。冒頭に記したとおり、やはり 「食べてこそ」 の鏡餅というわけです。
毎年 1 月 11 日が鏡開きとされていますが、厳密に言うと各地方によって日付に少々差があります。 1 月 7 日までは年神様がいらっしゃる松の内と呼ばれる期間で、鏡開きは松の内が明けた 1 月 11 日に行うのが一般的なのです。ちなみに京都では 1 月 4 日に、松の内を 15 日とする地方では 15 、 20 日に行うようです。

今回はこの 「食べてこそ」 の鏡餅を、関東以外の調理法でつくるお雑煮として味わってみませんか?

【全国に伝わるお雑煮レシピ】

お供えした餅には神様の霊が宿っています。刃物を使わず、木づちなどで叩いて割って (これこそが鏡を開くということ) いただきましょう。

■新潟

【材料】 4 人分
切り餅 ( 4 個) 、だいこん ( 100g ) 、ごぼう ( 50g ) 、人参 ( 40g ) 、里芋 ( 2 個) 、ねぎ ( 1/2 本) 、こんにゃく ( 1/4 丁) 、焼き豆腐 ( 1/4 丁) 、塩しゃけの切り身 ( 60g ) 、ほうれん草 ( 75g ) 、いくらまたは筋子 ( 75g ) 、だし ( 4 カップ) 、塩、しょうゆ適宜

【作り方】
1. だいこんは短冊切り、ごぼうは千切り、人参、里芋はまわし切り、ねぎは 5㎝ 幅の輪切り、豆腐はさいの目、蒟蒻、塩しゃけはたんざくに切り、ほうれん草はゆでて 4㎝ くらいに切り分けておく。
2. だいこん、ごぼう、人参、里芋、こんにゃくはさっとゆでる。
3. 鍋にだしと 2 を入れて煮ます。柔らかくなったら塩しゃけを入れ、塩、しょうゆで味をととのえる。
4. いくらとほうれん草を添えて完成。

 

■京都

【材料】 4 人分
丸餅 ( 4 個) 、鶏肉 ( 100g ) 、里芋 ( 4 個) 、人参 ( 50g ) 、だいこん ( 50g ) 、小松菜 ( 100g ) 、だし ( 3 カップ) 、白味噌 ( 90~100g )

【作り方】
1. 鶏肉はそぎ切りにしてさっとゆでる。
2. 里芋は鶴の子、だいこんは日の出、人参は亀甲に切り下ゆで。小松菜はさっとゆでておく。
3. だしに材料を加え、さっと煮て味噌をとき加える。
4. 椀に湯のなかで柔らかくした餅と具を盛り、汁をそそぎ柚子を添える。

 

■広島

【材料】 4 人分
丸餅 ( 4 個) 、ブリの切り身 ( 2 切れ)、はまぐりのむき身 ( 4 個) 、だいこん ( 100g ) 、青菜 ( 100g ) 、だし ( 3 カップ) 、塩、しょうゆ適宜

【作り方】
1. だいこんは半月に切る。
2. だし汁にだいこんを入れ、柔らかくなるまで煮て、ブリの切り身とはまぐりのむき身を 加え、塩、しょうゆで味をととのえる。
3. 椀に焼いた餅を盛り、 2 をそそぎ青菜を添える。

鏡餅に込められた日本人の思いと伝承を知り、おいしく味わうことで新年のパワーをいただきましょう。
■出典、監修
日本鏡餅組合
概要:鏡餅文化の普及を目指して昭和47年発足以来、さまざまな活動を行っている。
URL:http://www.kagamimochi.jp/

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