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「こちら現場からお伝えしました!」 第2回:新城、“取材御免” 店の背景

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もしかしたら、いつも 『ひと、まち NAKAHARA』 をご覧くださっている方のなかには、 「どうしてあの人気店の取材をしないのかな?」 と思っていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。昨年7月末にオープンして以来、実は結構な数のお店から取材NGのお返事をいただいているのです。

掲載店の条件は、「複数人からの推薦」 ! これを守っている理由とは?

ちなみに、本サイトで大切にしている点が 「複数の方よりお薦めをいただいたお店をご紹介する」 ということ。理由は簡単、それにこだわることで、編集部の勝手なバイアスによるレコメンデーションになってしまうのを避けるためです。 SNSは共感でつながったコミュニティのなかで、いかに感性にタグ付けしていくか?というメディアです。そのため、似た価値観のなかで集った共同体のなかで、「わかるー!」、「いいね!」という指標が重視されます。では反対に、こうした取材に基づく情報の集積サイトでは何が重要か?と言えば、瞬間的に通り過ぎていく情報ではなく、アーカイブされて情報源と成り得る発信をすることが存在意義とも言えるのです。そうした理由もあって、編集部の主観を排したお店紹介というのを非常にこだわって進めています。

 

そんななか、比較的お薦めの多いいわゆる人気店であればあるほど、「取材は受けない」 という返答をいただくケースが多いのです。これを当初はネガティブな理由なのかしら、と案じていたのですがそうではありませんでした。「現在の常連さんだけで精一杯であり、もしもこれ以上急激にお客様が増えた場合に、常連さんへのもてなしがおろそかになることを避けたい」 という理由が断トツで多かったのです。非常に衝撃を受けました。利益が大切なのは個人商店ならば言わずもがなのこと、その上で昔から通ってくださるお客様を大切にしたい、という思いがとても強いのがココ、武蔵新城のようです。筆者が個人的に気に入ってよく仕事で訪れるクラシックな 『ザ・純喫茶』 という趣きの喫茶室も、おおむね日々は決まった時間に決まった方々が訪れるという、ゆるやかなルーティンに基づきご年配の奥さんが運営しています。おおよその混む時間、お客様数がわかるからこそ 「年を取った今もなんとか続けられる」 とおっしゃっていました。

それなので、「ひと、まち NAKAHARA 」 でご紹介しているお店情報はすべて、常連であるなしを問わず気軽に行けるところだけとも言えます。

 

常連客の多い個人商店はSNSと共通するものがある。「共鳴室現象」 のなかで何を発するのか

 

筆者はこうしたやり取りのなかで、立ち止まって考えるわけです。

なるほどな、やはりその土地柄や特性、集う人含めて店舗には個性があり、そのゆるくつながったコミュニティを含めてキャンペーンやプロモーションを考えるべきなんだろうな、と。キャンペーン、プロモーションとひと口で言っても、それが一般的な意味合いのものとも異なっている前提に立つことも欠かせません。先日取材した店主も、「うちに来てください、という思いを排した先にファンになっていただくという価値を見つけた」 と、興味深い事例を教えてくださいました。

昨年の米大統領選でしきりに登場した “ エコーチャンバー(共鳴室現象)” という言葉があるそうです。SNSに代表される価値観を同じくするコミュニティのなかで、事実かどうか以上に重視されるのが共感できるかどうか、であるということ。アメリカでは偽ニュース問題を受けて、巨大SNS企業のCEOが対応策を発表する事態になりました。

おっと、「取材御免」 から、とめどもなく思考が飛躍していってしまいました (笑) 。

メディア特性に合った情報の発信はこれからも一層重要になりますし、生きたコミュニティである人気店に集う顧客との関係というのを、これからも取材活動を通じて勉強していきたいと思っているのでした。

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