夏休みも本番!暑い季節には海や川などでの水あそびの機会が増え、子どもたちには絶好の夏レジャーを楽しめるときです。同時に水の事故への懸念も親御さんには心配の種。今回、日ごろから水辺に親しみながら子どもたちが学べる機会を提供している 「とどろき水辺の楽校」 さんが “夏休み多摩川教室” に参加すると聞いて、お話をうかがってきました。
水辺に親しみ、親も子も楽しんで学べる体験を。「とどろき水辺の楽校」とは
御前理事長) もともと国交省が管理している多摩川などの河川で、子どもたちが親しめるイベントを地元のひとが集まって開催するために発足しました。「学校」 ではなく 「楽しい」 という字を当てた 「楽校」 という名称にしているゆえんですね。フィールドは河川敷。平成14年度に開校し、以来月に1回ほどのペースでイベントを行ってきています。
開校式は毎年4月に行います。今年は400人ほどの親子さんが集まりました。参加する子どもの年齢に規定は設けていないのですが、大体低学年の子たちがほとんど。たとえば川に入って魚やエビ、カニなんかを獲る 「ガサガサ体験」 というイベントでは水に浸かって脚でガサガサやるんです。ハゼやアユなんかもいますね。
素足で川に入る体験も、昔の子どもと違ってなかなかできませんからね。それに素足で触れるいろんな感覚を楽しむことは刺激にもなる。昼食には多摩川沿いに自生している野草を採って天ぷらにしてみんなで食べるんです。自然の苦みも五感を鍛えるし、こんなところに生えている草もね、食べることができるんだよというのを楽しみながら学んでいます。
編集部) うわぁ、光景が目に浮かぶような楽しい企画で子どもたちがうらやましく感じます。でもポイントは親子ですよね?
御前理事長) そうなんです。私たちの活動は、ご両親に向けた意味合いもとても大きいのです。水の事故などは、おぼれた子どもを助けようとした親御さんも一緒に巻き込まれた…なんていうケースが非常に多いでしょう。そういう意味で、水辺の楽校では子どもだけでなく大人も学んでいただくことを大事にしています。年に2回、「水の安全教室」 を開いて、水に落ちたときにはどうしたらいいのかを学ぶために、実際に川に入って流される体験をします。
他にも、12月は野鳥の観察などもしますし、1月は広く電線のない河川敷でのびのびと凧揚げ大会を楽しみます。新年なのでお雑煮もみんなのお楽しみになっています。3月は1年間お世話になった川に感謝の気持ちを込めて、みんなでごみ拾いをして川をきれいにするんですよ。
多摩川河川敷で楽しむ 「野草染め」 体験。独特の風合いが自然な味に
今回は目的を同じくするいくつかの団体が共に参加する 「夏休み多摩川教室」 にお邪魔しました 。とどろき水辺の楽校では 『多摩川草木染めマイハンカチつくり』 体験を行っていました。
野草を煮出した液体は、たとえるならカレースープのような色。あらかじめイベントのためにスタッフさんたちが準備をし、ヨモギやイタドリ、クズなどをブレンドしたもの。
御前理事長) ペットボトルのキャップが入っているでしょう?これはランダムに入れておくと煮出されて布に模様が残るのです。輪ゴムで布をしばるなど、これで絞りをつくっています。
御前理事長のお話で冒頭にあった「楽しい」という字を当ててがっこう、楽校としたという皆さんの思いは、年間のさまざまなイベントに込められています。水辺に親しみ、そして具体的な対処法も学ぶことで、子どもたちには大人になっても忘れがたい思い出となるはず。生まれ育った川崎の、多摩川のある風景が今も昔もたくさんの命を育んできたことを肌身で感じられる 「とどろき水辺の楽校」 の活動なのでした。