中原エリアに住む・働く・生きる魅力的な人たちをインタビュー。がんばる誰かの日常が、誰かの背中をそっと押すような、そんなきらめく人たちをご紹介します。

あまりにも身近だからこその愛着。この街に生き、働きながら確かな足跡を刻んでいきたい。 【吉崎 塁(新城 サンモール商店街 理事)】

吉崎 塁様(新城 サンモール商店街 理事)

武蔵新城駅南口を出て左に進み、横浜銀行の角を右折したところにある新城サンモール商店街。この商店街の理事の一人として、日々活動している吉崎 塁さんは、生まれ育った地で念願叶って飲食店 『ラ ミア フォルナーチェ』をオープンしました。若くして夢を実現し、個性豊かな店が軒を連ねる商店街で、事業主として挑戦を続ける吉崎さんにお話しをうかがいました。

吉崎 塁様(新城 サンモール商店街 理事)吉崎 塁

1984 年生まれ。川崎市中原区にて生まれ育つ。30歳で新城サンモール商店街に ピッツェリア&バー「ラ ミア フォルナーチェ」 をオープンし、オーナーシェフとして腕をふるう。 2016 年から、新城サンモール商店街の理事として、商店街の活性化のために尽力している。

商店街は魅力のカタマリ!新旧多彩な事業主の声に耳を傾けながら、人のにぎわいが絶えない企画を生み出したい

適度に都会、適度に田舎。そんな気取りのないこのエリアは、 「自分の店を構える」 という昔からの夢を叶えたことで、本当の意味でホームになりました。
2014 年 12 月に、武蔵新城の新城サンモール商店街にピッツェリアをオープンし、生まれ育った町で開業を果たしたわけです。自分の店がある商店街というのは、もちろんこれまでと異なった世界が新たに見えるようにもなったわけで、事業主として、一つの責任のような気概も感じるようになりました。

今年の 6 月から、このサンモール商店街は僕の二つ年上の 「カフェハット」 の出塚祐司オーナーが自ら名乗りをあげ、商店街の理事長に就任しました。僕も理事として参画しています。商店街には新旧さまざまな世代の事業主がいるので、諸先輩方のお店にちょくちょく顔を出していろんなお話を聞かせてもらっています。そうした経験に基づく知恵に加えて、僕ら世代ならではの思い切ったアイディアなんかを併せていくことで、今の時代に沿う 「商店街の発展」 というのにも貢献できるんじゃないか?と考えています。出塚さんとは、いろんな企画を出し合って、先日も 「ポケモンGO」 を取り入れて各店舗への来店促進企画にもトライしたところです。

吉崎 塁様(新城 サンモール商店街 理事)

先のことを計画するよりも、目の前の仕事を全身全霊で取り組む。結果、身に着いた力と探求心が、ほんの少しの運を味方にしてきた

「いつか必ず自分の店を持つ」 と決め、 20 代での開業を目指して四苦八苦していた頃。なかなか前に進まない状況をそばで見ていた父親から「焦ってもうまくいかない。技術面や金銭面の問題もあるから、機が熟すまでじっくりと準備をしなさい」と言われて。それで 「確かにそうだな」 と、いったんよその飲食店で徹底的に経験を積むことにしました。そうした修行期間中にたまたま出合ったナポリピッツァに開眼し、まったくの初心者からスタートして一から修行を積み重ねました。

この店を開く際も、一度融資が満額で下りなかったんです。どう計算し直しても、その不足をなんとかできる策もないし、このままではまだ店は持てない…と諦めかけたとき、当時働いていたピッツェリアで職人が退職することになりました。その人以外では、厨房機器やピザ窯を扱える人がいないので、店を閉めることになったんです。で、なんとそれら開業に必要な厨房機器一式を譲り受けることになったんです!結果、浮いた予算でその他必要な物資をそろえることができ、無事開業に至ったのですが、無理を通したわけではなく、コツコツ頑張ってきたら最後にサプライズで祝福されたようなものでした。
計画どおりにうまく運べばラッキーですが、そうもいかないのが人生です。それであれば、遠い先の計画立てに苦心するより、僕は目の前の仕事に100%集中することで、自然とついてくる実力とほんの少しの運を味方に道を切り開いていきたいと思っています。

「人に歴史あり」 。あれもこれもは手にできない。真に望むものだけ手に入れられればいい。シンプルに夢を磨き続けて鍛錬されていく

なんでもそうなんですが、一度決めたら徹底するタイプ。開業する以前、キックボクシングのライセンスを取得して、プロとしてリングに上がっていたんです。格闘技一本でやっていた頃は負け知らずでしたが、飲食業での修行を開始すると、仕事の合間を縫ってトレーニングするしかなくなり、勝ち星を挙げることが難しくなってきました。僕にとって、 「プロ」 イコール 「勝ち続けること」 。仕事しながらどれだけ勝っていけるか?は、ある種自分との闘いといった挑戦でした。トレーニングの時間をなかなかねん出できなくなって、負けることも増えてきたあるとき、格闘技一本の道で闘う他の選手たちに対しても、そして自分の美学においてもこれは違うな、と感じ、プロとして試合に出ることを終わりにしました。

「自分の店を持つ」 。この夢を絶対に叶える、そのためにも、二足のわらじを履くのではなく、飲食店の仕事に 100% の力で取り組むことを決めたんです。今はアマチュアとして、趣味の範囲内で総合格闘技の試合に出ています。何を優先し、実現したいのは何か?そういう問いに対して、僕は非常に思い切りが良い方かもしれません。

誰の子どもでも、近所の大人はみんな顔見知りだった。「地域が子どもを育てる」佳き慣習を受け継いでいきたい

吉崎 塁様(新城 サンモール商店街 理事)お店をオープンさせて、 1 年 8 ヶ月が経ちました。たまに学生時代の知人などが、僕がやっている店だと知らずに来店してくれることがあります。 「あれ?もしかして吉崎くん!?」 なんて驚かれるのは結構好きです (笑) 。知人たちも大人になっていて、奥さんや子どもさんを連れて来店してくれることもあって、こういうのが地元ならではの再会であって、醍醐味と言える気がします。

地元で生きて、地元で働くってことは、人の成長に立ち会う歴史。僕の店には親子連れのお客様が多いですが、そうすると顔見知りになりますよね。お子さんの顔を覚えていれば、商店街で見かけたり目配りをしていくことができるので、日常的な防犯につながると思って声をかけるようにしています。僕もそうやって、周りの大人に見守られて生きてきたわけで。今度は僕がそうやって、この場所で大人としてできることをつなげていきたいと思っているんです。

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