カスタマイズやDIYなどを凝らして、魅力的な暮らし方を実践している方のノウハウをご紹介します。

「こちら現場からお伝えしました!」 第3回:個性が現れる駅トイレ事情

42222e7a17e0a3d33d3ee1432b7af3cb_s

こんにちは。三月も下旬となり、いよいよ春めいてきました。

さて、筆者は仕事がら日々たくさんの電車に乗ります。JR、 私鉄、東京メトロ、都営大江戸線、さらにはバスやタクシーも!そんななかで気がついたことがあるのです。

「駅のトイレから想像されるまちの表情」 です。トイレでそんなことわかるのか?いえ、わかるんです!

この話をしたときに、「ひと、まち NAKAHARA」 でも活躍中の読者ライターS子さんも 「わかります!」 とおおいに共感していただきました。では早速どんなことかご紹介してみましょう♪

 

トイレのパーソナルスペースの広さ、個室内の貼り紙文言に個性が現れる!

武蔵中原駅、武蔵新城駅のトイレはパーソナルスペースが広めにつくられていることに、最初の頃驚きました。この辺が都内地下鉄や私鉄沿線と比較してわかりやすく違う点。平たく言えば個室が広いということです。小さなお子さんのいるお母さんやご年配の方々が比較的多く乗降する駅だからかと推測しています。もう一つ驚いたのが、男性の清掃員が普通に女性用トイレで清掃なさっています。もちろん清掃案内看板にその旨が書いてあるのですが、都内私鉄などではほとんど見られないこと。そしてもっとも注目なのが各個室内に貼ってある貼り紙!実はもっともさまざまなことを想起させるのがコレの存在なのです。

たとえば 「詐欺被害に合わないためのアラート」 。腰を下ろすと正面にこの貼り紙が位置するので、思わずじっくり読み込んでしまいます。その内容も年金受け取り詐欺やオレオレ詐欺など、ある程度ご年配の方々へ向けた内容と思われます。さらに、その季節にレコメンされているパックツアー情報がふんだんに貼られています。どうもこの2点から、両駅トイレの主要ターゲットはご年配の方々らしい、とイメージできますね。

a3ec17074c00a003c7d2eda95a627360_s

特筆しておきたいのは武蔵中原駅に飾られている新鮮な生花です。いつ見てもフレッシュなイキイキした季節の花が無造作に活けられていますが、それを見るたびに人目に触れることなく他者を喜ばせてくれる無名の誰かの存在に思い馳せます。S子さんいわく、何度かその花の取り換えシーンに立ち会ったことがあるらしく、某企業さんの華道部さんなどが貢献しているようなことも耳にしました。素敵なことですよね。しかもゴージャスに飾るのではなく花器も空きペットボトルなのが、なんともデイリー生花という感じで筆者は好きです。

 

意外に見えてしまう、負の側面…。「なぜそれが起こるのか?」 背景にある使用者属性

また同じ沿線の某駅で驚いたのが、かなりの真剣レベルでの 「トイレ個室内で長時間飲食をしないで!」 という要請。時折この手のメッセージ貼り紙に遭遇することはあるのですが、いやはやかなりの本気要請ぶりが文面、貼り紙の多さからしのばれます。「トイレで飲食する人が本当にいるのだな…」 と思うと同時に、駅トイレがここまでガチの懇願をするのだから本当に困った問題であることも想像できます。トイレ個室で飲食しなくてはならない状況やひとたちというのは、どういう事情があるのだろうか。そういうことも駅トイレから推測するマーケティングの一助になると思うのです。

他にも、「タバコを吸わないで!」 、「あなたは一人じゃない!」(アルコール等の中毒行為から脱却を訴求する内容)などもあり、いろいろ考えてしまいます。

 

貼り紙で訴えず、個人の良心の発露を待つスタイルの私鉄・地下鉄

都内地下鉄や私鉄駅は、概ねパーソナルスペースがかなり狭く、「あー、トイレにはあまりスペース確保できないんだな」 と思えます。貼り紙の内容などは比較的無個性ですが、その代り上記と比較すると圧倒的に鏡面台の汚れが目立ちます。メイク直しをする方々が多いため、長い髪の毛の散乱やメイク用品の汚れをそのままにしていくケースも散見できます。かといってその注意を貼り紙にすることもなく、ただ黙々と清掃員が対処するため完全に個人の良心の発露を待つしかないわけです。

そう考えると、季節のパックツアーで期待感を盛り上げ、不安に陥れる詐欺被害の対策を教えてくれるうえ、イキイキとした生花がそっと活けられる武蔵中原駅はかなり 「人間くさい」、人情を感じる駅と言えそうです。

Related posts