カスタマイズやDIYなどを凝らして、魅力的な暮らし方を実践している方のノウハウをご紹介します。

商店街に面した昔ながらの賃貸マンション。突如どこに迷い込んだのかと思うほどオープンでフレンドリーな空間が出現 【PASAR SHINJO (パサール新城) 】

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2016 年 1 月にオープンした、セシーズ・イシイ 7 の 『 PASAR SHINJO (パサール新城) 』 、 “まちに開いた共用部” とはオーナー石井秀和さんの弁。賃貸マンションにも関わらず、この 『 PASAR SHINJO 』 の面持ちはまるで分譲マンションのよう。一階部分の駐車場があったスペースを大胆に改修し、エントランス部分の開放部をポケットパークと銘打ち、カフェ 『新城テラス』 をオープンしました。

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賃貸マンションの共用部とは思えないほど、感性に響く外観

 もともと、築年数が経過し、全面的改修をすべきか悩んでいた石井さんですが、入居者の満足を高めるために、今何をもっとも大切にすべきか考えた結果、震災以来、人々が意識的にも無意識的にも希求するようになった精神的な価値に着目したのです。マンション内に、自然なつながりや交流を生み出すべく、思い切ってこの共用部の価値を高める改修を選んだのです。

 『新城テラス』 からコートヤードを通って奥へ進むと、左にレンタルスペース、右に近隣に暮らす方が主宰するパン教室があります。窓越しにいつも、楽しそうに笑顔でパンを作っている方々が見えて、いかにもほのぼのとしています。

「いつも会う人ごとに、やりたいことを話しまくっていると、縁が飛び込んでくるんですよ。立ち寄った店で、このスペースのことを話したらご自宅でパン教室を主宰している方が場所を探しているとご紹介いただいたのがはじまり」 。

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一つひとつにこだわりとセンスが光ります

 コートヤードにきらりと光る存在感を放つタイルのモザイク貼アートも、実は入居者や近隣の方の方々と一緒に創ったもの。石井さんはこうやって、入居者や近隣の方々と一緒になって何かをするのがお得意です。その後、そのモザイクをさらに発展させて、 「シンボル・ツリー」 という絵が描かれるなど、創作が成長していくのもいかにも 『 PASAR SHINJO 』 らしいところ。

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モザイクアート(左)に、シンボルツリー(右)。自由にのびのびと。「成長する創作」

 

「大事なのは、 “この場所で何かが行われている!” とざわざわすること」 。立体的な発信が噂を呼び、アクセサリーづくりに雑貨づくりと、ここではさまざまな創作イベントが開催されています。

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この日もスタッフさんがせっせと何かをつくっていました

 オープンイベントの際は、石井さん自らマルシェ開催者を探したそうですが、以降はほぼ地元の方が名乗り出てくださり、毎回300~400人の人出でにぎわうように。 「自らやりたい企画を持ち込んでくれる方が増えてきました」  とのこと。

この 『 PASAR SHINJO 』 でふらっと立ち寄りやすくしているのはやはり、カフェ 『新城テラス』 の存在です。ここでは川崎市内の自家焙煎珈琲を扱う 『シラハト商店』 、 『mottano』 、 『もとえ珈琲』 の豆を使った薫り高いコーヒーが楽しめます。店内は木の芳香がたっぷり漂う無垢の杉の木をふんだんに使ったテーブルセットが落ち着きます。これも、石井さん自ら仕入れてきた道南杉。

hidekazu_14 ふんだんに用いられた道南杉が居心地の良さに貢献

「カフェをチェーン展開したいわけではないので、一つひとつにストーリーがあることが “らしさ” につながると思っています」 。店頭のベンチや店名サイン、店内の細かなものは、市内の 『中原工房』 の協力のもとスタッフや関係者と DIY したもの。石井さんの手がけるカスタマイズ賃貸では、入居者と一緒に DIY により家具を創ったり壁紙を選んだりできるのも特徴で、 『中原工房』 で作業をする石井さんの姿がよく見られるようです。

 

共用部に特化してこだわりの改修をしたことで、入居者の方からも 「なんだか賃貸じゃないみたい!」 など、喜びの感想をいただくことが増えました。ここに属している、というささやかなうれしさをも、共用しているのかもしれません。

hidekazu_15【PASAR SHINJO(パサール新城)】
神奈川県川崎市中原区上新城2丁目7-1 セシーズ・イシイ7
JR南武線「武蔵新城」駅より徒歩3分
●新城テラス facebook
https://www.facebook.com/shinjoterrace/

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